冷凍庫・冷蔵庫の製造工程では、製品の汚れや傷など、不良品への厳しい基準。
家庭用、業務用機器製造における世界大手企業のエレクトロラックスグループ(Electrolux Group)は、多種類の冷蔵庫、冷凍庫をハンガリー工場にて製造しています。
断熱のためインナーライナーとシェルの間に断熱材フォームを注入し、カップリング部品の間にわずかな漏れがある場合は断熱材フォームによって塞ぎます。ここで問題になるのが、このフォームが製品の表面に出てしまうという点です。エレクロトラックス製品は表面の断熱材フォームを完全に取り除く必要があり、除去する工程で汚れや傷がつかないようにする必要もあります。
溶剤と工具を使った手作業による洗浄の場合だと、時間がかかり人件費もかさみます。また、手作業だと製品に傷がついてしまうリスクもあり、スクラップとして廃棄される量も年間で大きな問題となっていました。
工場全体で効率的な製造方法を求められており、最小限の製品廃棄と生産量の増大が課題でした。
問題店解決のため、次の要素を洗浄工程に求めました
スピード
容易な操作
コスト
安全性
「生産ラインを遅らせたり止めたりせずに、製品の洗浄する必要がありました。また、15人以上が洗浄機械を使用するため、難しい作業ではなく容易な操作が求められました。」
-生産効率スペシャリスト Koncsek氏
ドライアイス洗浄の原理
ドライアイス洗浄は、再利用されたCO2を固体ドライアイスにしたものをメディアとして使用し、圧縮エアで対象物に吹き付けます。ぶつかった衝撃で約800倍に膨張し、固体から気体へ昇華してしまうため、二次廃棄物を残しません。
ドライアイス洗浄の利点
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研磨剤が含まれておらず、繊細な対象物にも使用可能
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分解せずにそのまま洗浄
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二次廃棄物を発生させない
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環境にやさしく、安全で非毒性
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容易な操作
結果
ドライアイス洗浄の導入により、エレクトロラックス社は大きな利益をもたらしました。
1) 大幅なコスト削減
繊細な表面処理や細かいキャビティは、他の洗浄機では洗浄することが出来ませんでした。ドライアイス洗浄は非研磨性で手の届かない箇所まで洗浄できるため、数千にも及ぶ廃棄製品を削減することが出来ました。
2) ダウンタイムの削減
分解する必要がなく機上に乗ったまま洗浄できるため、生産ラインを止めることなく作業が行えます。ドライアイス洗浄機はタイヤがついており駆動性が高いため、必要な場所で使用することができます。
3) 容易な操作と高い安全性
ドライアイス洗浄機は容易に操作でき、安全性も高い製品です。溶剤も使用せず、長時間の手作業による洗浄も必要なくなります。
4) 環境にやさしい
非毒性で二次廃棄物を発生させないのがドライアイス洗浄。エレクトロラックス社が目標としている、「環境にやさしい企業」に最適な洗浄方法。
「ドライアイス洗浄は、より高い洗浄力、製品品質向上、効率的な生産プロセスを全て叶え、会社全体のビジネスを短期間で大きく改善しました。」
-Koncsek氏
エレクトロラックス社は投資収益率を計算したところ、スクラップ削減量だけでも機械コストの回収ができるとわかり、同社にとっては大きな付加価値のある投資になりました。